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都立高校入試英語対策HEADLINE

はじめに

今年(平成29年)の府中第一中学校3年生さんに「都立高校入試に発音問題は出ますか?」と聞かれたのがきっかけで、傾向と対策を明解かつ体形的にまとめた。それを基に無駄なく、でる順に対策を進め、志望校合格のお手伝いをしている。どんな試験でも傾向を分析し、対策を実戦的にできれば、合格にさらに近づく。都立高校入試の英語は、上位校の自校作成問題を除き、共通問題の傾向はここ数年固定化している。つまり、変わった問題は出ないということだ。ざっくり言えば、聞く、読む、書くを実用的な視点から評価されるのだ。下の資料に目を通し、概要をつかんだら、たくさんの問題をやって、一つでも多くの×を見つけて、○に変えるように苦手をつぶしていこう。受験日までの日々を大切に過ごし、完全燃焼することを願う。

平均点

平成 26 25  24  23 22
平均点 54 62 58  59 50
※平均点は小数第一位で4捨5入

出題形式の概要

時間  50分 
満点 100点 
大問数 4問
枝問数 23問 
総語数 1650語前後 
時間/1問  2分
単語/1分 32語 
配点 作文は12点、それ以外は各4点

出題形式の詳細

  形式  配点 
問1   リスニング問題
A:対話文 B:文章
 20点
(4点×5問)
問2 1. 資料 適語選択
2. 資料 適語選択
3. (1)内容真偽
  (2)作文
4点
4点
(1)4点
(2)12点
問3  読解 適文選択
読解 適語補充
要旨 適語選択
28点
(4点×7問) 
問4  読解 適文選択
読解 適語補充
文脈整序
内容真偽
内容一致文選択
英問英答 
 28点
(4点×7問)

時間配分

50分、100点満点のテスト。大問4題、総小問数は全部で23問。単純計算で1問への解答時間は2分10秒弱、小問1問あたりの配点は4点。テーマ作文は自由創作で1問12点の配点となり、3問分の得点なので、6分30秒かけて答案するのが戦略的。2分で考えて、3分30秒で書いて、1分で見直しが理想的。

出題の最大の特徴

構成と配点はそれぞれリスニング20点、長文68点、英作12点。その一方で私立高校入試と違い、都立高校入試は、単語や文法の知識を問う問題がほとんど出題されない。構成に連続性があり、単語力や文法力を問題単体では問わない。その一方、リスニングや長文は聞いたり、読んだりして意味がわかるといった実用的な技能を重視している。英作文も和文英訳ではなく、英文を創作させるので使える英語の視点から自分を表現できるかどうかを評価される。

リスニング問題の心構え

リスニング問題が始まる前に答えの選択肢が事前に示されている場合には、必ず目を通す。選択肢が単語で地名なら、質問は「どこで」に絞って聞く。その際、質問文の1語目はWhereで始まるのが普通。同様に、4つの選択肢が時間に関するものならWhen、人に関するものならWho、動作やものに関するものならWhat、どれかを聞いているならWhich、手段や程度を聞いているならHow。問いかけの1語目の5W1Hを意識して、1周目からある程度ポイントを絞ってリスニングに臨む。ただし、1周目はリスニング全体の流れをおさえて、ポイントの絞りすぎはしない。正答だと思う選択肢の横に印をつけておき、とどめは2周目で刺す。
次に、選択肢が文章の場合の対策だが、選択肢が長いからといってネガティブにならず、さらにより多くの情報が得られると前向きに考えよう。なぜなら、選択肢の中に出てくる単語は、ほとんどがリスニング読み上げに出てくる単語だからだ。4つの選択肢が(ア 彼女は朝7時に起きる イ 彼女は7時半に朝食をとる ウ 彼女は8時に学校へ出発する エ 彼女は8時半に教室に着く)なら、これはある女子生徒の朝の行動・予定に関するものと考えていい。推測し過ぎは思い込みとなり危険だが、選択肢にある単語が聞き取れるというだけでぐっと正答に近づく。1周目は目星をつけておき、とどめは2周目で。

リスニング1周目の聞き方のコツ

リスニング1周目でリスニング文の全体の流れをおさえて、質問文をきちんと聞き取る。質問文を聞き逃せば2周目もポイントを絞れずに、1周目と同じ条件でリスニングしなければならない。最低限、質問では5W1Hの何が聞かれているのかは必ず聞き取る。1周目において、読み上げられる文章全体の流れをメモし、大まかな流れが頭に浮かべば、質問の答えが全体のどの部分にあったか絞れて、問いかけのポイントに集中できる。絞り込みは消去法のイメージで。

リスニング2周目の聞き方のコツ

リスニング2周目は2周目が読み上げられる前に、質問に対する答えが全体のどの部分にあるかを目星をつけ、質問の答えにあたる詳細な情報までつけ加えて、確認するように聞く。2周目は、1周目でだいたいつかんだ流れに詳細な情報を付けて行く作業だ。答えの部分が全体の中でどのへんに放送されるか心構えをして、最も大切な答えの部分を聞き逃さない。対話文の2周目は男性の音声か女性の音声かに絞って聞き取る。問題Aにあたる対話文のリスニングではたいてい、男女の読み上げになる。したがって、1周目のリスニングで、質問文が男性に関する質問とつかんだなら、2周目は男性の音声の文章に集中する。男女の音声の特徴を活用しよう。

リスニングを上達させるには

コツさえつかめばリスニングは大きな得点源だ。上達するには、英語を聞き慣れ、英語耳になる以外にない。今からリスニング台本を開いて見ながら聞いて、文字と意味と音を関連付けよう。CDを繰り返し聴き、同時に英文を自らシャドーイング音読すれば練習効果は相乗する。同じ問題を1日1回4日間連続が理想的。聞きながら意味が取れるようになれば、その問題を卒業して次の問題へ。
商売柄、「どうやったら英語をしゃべれるようになりますか?」とよく聞かれるが、たいていの生徒さんの場合、聞き取りができてないのが原因。聞き取りは英会話上達の基本中の基本、聞けない単語はしゃべれない。高校入試で終わらず、将来英語をしゃべれるようになりたいなら、中学英語レベルのリスニングはマストだ。これからの時代のみなさんは英語くらいしゃべれるのが必ず普通になる。このリスニングの練習はやっておいて絶対損はないことを断言する。

長文読解の解答の心構え

総語数はおよそ1350語と公立中学校の教科書巻末のリーディング量から比べると、非常に分量が多い。また長文読解にかけられる時間量から計算すると、300語程度の英文であれば、8分で読んで、解答しなくてはならない。1分当たり33語前後という、読解力だけでなく速さも求められる。公立の教科書のみによる学習では、長文を読み慣れることは極めて絶望的だ。過去問を繰り返し解いて、長文の読解量とかかる時間の感覚をつかむ。速読の上達には最低でも6か月必要だと肝に銘じてほしい。

長文読解問題の概要

 大問数 3題 
 小問数 18問
 総単語数 1350単語
 時間/1問  2分
 語数/1分  37単語
 点数/1問  4点
※大問2〜4で38分、80点

長文読解問題の詳細

全ての問題は長文を正しく読めているかどうかをみる。細部に関する問題からあらすじに関する大まかな問題まで、難易度は徐々に上がるが、東京都立高校入試英語の最大の特徴は文法問題が意図的に出題されていないことだ。全ての問題はつながりの中で関係性があり、アクセントや発音問題など長文の理解に関係のないものは出題されない。出題形式の詳細は下記の通り。
  • 英問英答     (細部)疑問詞の質問文に答えを適切な箇所から引用、英語で解答
  • 一致・適文選択  (細部)話の内容を理解し、条件文から正しい文を選択
  • 内容真偽     (細部)話の内容を理解し、各文の正誤を判定
  • 読取・適語補充  (前後のつながり)該当する場所を見つけ、語句を代入
  • 読取・適文選択  (前後のつながり)指示語など前後の文脈のつながりを理解
  • 要旨・適語選択  (あらすじ)話の全体の流れを理解し、該当箇所から抜き出し
  • 文脈整序     (あらすじ)全体の物語の流れを理解

長文読解のコツ

速読にはスラッシュ読みが極めて効果的。スラッシュ読みとは同時通訳読みのことで、前置詞句や接続詞の前や長い主語のbe動詞の前など、意味のまとまりで区切り、前から前から読んでいく。その際、文末まで行って、振り返り読みはしない。日本人も外人も読むときは文末まで意味を取るのを待って、丁寧に訳し直さない。一文一文をきれいな日本語訳にしていたら、時間切れでアウト。英文読解は全体的に話が理解できているかどうかが肝なので、一文ずつに没頭すると、どうしても長文全体の指向性をつかめない。この場合の指向性とは長文がどんな仮説、物語、顛末を説明しにいっているかだ。指向性をつかむことは長文全体の意義の理解につながるのだ。さらに、英語を英語の順序のまま意味を取るのは、英語の構造や文法の理解にもつながり、リスニングや作文や会話も上達するのが普通だ。1つの長文のスラッシュ読みを1日1回4日間連続してやり、そして単語・表現・構文を粘り強く身に付ける。読みながら意味が取れるようになったらその長文を卒業するのだが、最低4〜5日はかかる。すぐに速読できるようになる幻想は捨て、地道にコツコツやり、決してあきらめない。難しい長文は簡単なのが速読できるようになったら挑戦。

英問英答のコツ

Yes/No疑問文と疑問詞疑問文の違いを知る。つまり、疑問詞のない文章はYes/Noが答え方で、疑問詞のある文章はYes/Noの答え方はできない。都立入試の英問英答にはYes/No疑問文はないから、対応する文を見つけることが重要。ほとんどの問題は対応箇所を聞いているだけで、自分でオリジナルの英文を作る必要はない。質問文にあたる箇所を探し、質問に合うように形式美を整えて、少し変更をする。形式美とは聞かれた形に合わせて応答すること。つまり、採点者は君が必要に応じて、人やものを代名詞に変更できるか、動詞の時制による語形変化ができるか、疑問文では動詞が原型に戻っているかなどを見ている。対応する答えの部分が分かっているなら、矛盾した答えを作らず、形式美を整えて、しっかりとどめを刺そう。

テーマ作文のコツ

都立入試は与えられた日本語を英作するのではなく、テーマ作文だ。最も自由度が高いから、12点満点は十分可能であり、やった人とやってない人で差がつくのはズバリここだ。例えば、平成23年度の出題は、「あなたが困っているときに誰かに助けてもらったことについて、英語で書くことになった。あなたが誰かに助けてもらったことを一つ取り上げ、そのことについて三つの英文で書き表しなさい」だった。ここで「イタダキ!」と感じてる君は、ほぼ合格ラインだ。一方、書くのに6分以上かかって、ミスが複数あるようでは落ちてもおかしくないレベル。対策としてはまず、日本語で頭の中で答えにあたる文章を3文考え、ひらがなでメモする。その際、難しい内容を表現しにいかない。答えに当たる文章をメモしてあるのに、筆が止まるのは日本語の豊富な語彙で作った文章に対して、英語のレベルがまだまだだから。対応策としては、①書きたい内容を手持ちの英語の語彙・文法で表現できるレベルまで落とし、②似たような表現にし、③言いたいことがあっても表現できないなら捨てて、④コンプリートセンテンス(完全文)にする、の4ステップだ。英作では小説の様な文学的な評価はなく、減点法で採点される。書いた3つの文章に誤りがなく、論理的に連続していれば採点者は減点する余地がない。定期テスト対策や問題の見直しで普段やっている「大ピり冠スぺss」でシステマティックに見直し、とことん妥協し、正解だと確信が持てる英文を書くことに徹する。実際にテーマ作文に取り組み、問題特有の難点を経験し、一定期間集中して対策して、役に立つ表現・参考例文などの使える知識、つまり型を自分の引き出しに入れていこう。文法的にミスのない英文を脇を絞めて3文書くために、自分が得意な型を少なくても10個以上身に付けることが当面の目標だ。
最良の練習方法は「このテーマ作文をこのように書いてみたのですが、おかしいところはありませんか?」と言って、この人ならという人のところに毎回持って行って、添削してもらおう。大事なのは添削されたところを身に付けることだ。それを何回かやっているうちに、自分の中にこの書き方ならミスをしないという型が必ず増えて、上達を実感するはずだ。

終わりに

都立高校入試問題の傾向と対策をシェアしてきたが、いかがだっただろうか?3年の秋までの定期テスト結果による評定を基に、志望校に内申点が送られ、受験する前から3割は勝負が決まっている。残りの7割がこの入試結果で、最終的な合否は決まる。高校受験は君の人生でおそらく最大の試練だが、十分に準備して最高の勝負をすれば君は絶対に合格する!受験日までの日々を悔いを残さないように大切に過ごそう。高校受験英語の勉強のやり方はこちらで案内しているので、よければ参考にしてほしい。