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ジョン・ロングの「シェイクスピアの音楽理論」から見たシェイクスピアの「テンペスト」その1 とも英語塾 府中

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とも英語塾 府中 ドラマ 論文(日本語)

ジョン・ロングの「シェイクスピアの音楽理論」に基づくシェイクスピアの「テンペスト」の戯曲・音楽構造の一分析(その1)

1.はじめに

ケンブリッジ大学発行による「シェイクスピア概説」は同大学主催のシェイクスピア学会の定期刊行物であるが、1998年刊行の同刊行誌上で、研究者の一人であるイリーナ・チョーリッジ氏は「何千もの楽器が高らかに音楽を奏でる18世紀ロンドンのステージプロダクション・テンペスト」と題して、シェイクスピアの「テンペスト」における音楽的見地からの考察を発表している。チョーリッジ氏の論説の最大の焦点のひとつは次の一段落に要約される。

ウィリアム・シェイクスピアの「テンペスト」はシェイクスピアの作品中、最も音楽性に富んだ戯曲で、その音楽性を数多く指摘されてもいいはずなのに、その方向からの研究はほとんどなされていない。

同氏の主張を言い換えれば、「テンペスト」の戯曲構造をその音楽性から再考察する必要があるということに他ならない。妖精や魔物などの超自然生物たちとごく普通の人間が混在する同作品において、言うまでもなく音楽は彼らたちの住む世界を作り出す大切な要素のひとつである。チョーリッジ氏の論説に著しく刺激されたのがきっかけで、シェイクスピアの「テンペスト」をこれまでの戯曲研究者たちが踏み均してきた英国植民地論や17世紀研究論を用いずに、戯曲構造を分析してみようというのがこの論文を執筆することになった発端である。実質的には、シェイクスピアが登場人物の感情、知性、性格、生活環境において音楽がどのように影響を及ぼすのかを洗い出していくのがこの分析の狙いに他ならない。本論ではジョン・ロング構築の「シェイクスピアの音楽理論」に基づいた「テンペスト」の戯曲構造の分析が、作品中での音楽使用の重要性をさらに明らかにし、同作品をデザインする舞台音響家に対する効果的な一指標となることを証明していく。

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